浄土真宗本願寺派 瑞光山 西念寺

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2024.06.21 今週からプール④最終章

今週からプール③の続きです。

「がんばるんだ。ここでくじけちゃだめだ。もう少しじゃないか」意識の戻った少女がひょいと見たら、年老いた校長先生でした。一瞬、静まりかえったプールで、全校生が立ちあがりました。
そしてみんなが帽子を振りながら、足を踏み鳴らしながら、「わっしょい、わっしょい」「わっしょい、わっしょい」とかけ声をかけ始めたのです。その声は地響きとなり、プールを揺るがすようなこだまとなって、少女のからだに届いてきたのです。
少女に泳ぐ力と生きる勇気が湧いてきました。泳がねばならないんだ。手を動かさなきゃならないんだ。みんなの声援にこたえていると、出るはずのない力が出て手が動きだしたのです。けれども体力がないから沈む。沈みかけたら校長先生が支えてくれるんです。
しばらく休んだら、また手を動かすのです。泳いでは沈み、沈んでは泳ぎ、長い長い、長い長い時間をかけて、全校生の歓声と喜びの渦巻く中で、少女は向こうのプールサイドに手をかけたのです。
ウォーという一段と高い歓声が鳴り響きました。けれども少女の体力はもう限界でした。
手すりにぶら下がるのがやっとで、プールから上がる力がまったく残っていません。
そのとき、いつもいじめグループに遠慮していた友達三人が、プールサイドを走ってきて、一人は前から手を差しのべ、二人はずぶ濡れになるのを覚悟で、飛びこんで、重たい少女のからだを上へ押しあげてくれたのです。
少女はようやくプールから上がります。倒れようとする少女のからだを、友達が支えてくれます。その支えようとする姿に向かって、また、全校生の割れるような拍手が鳴り響いたのです。
友達に抱かれながら少女は、左の友達にありがとうと頭を下げ、右側のお友達にご声援感謝しますと頭を下げました。そして正面に見えるクラスの者に、こういう惨めな成績でした、ゆるしてくださいと、詫びる思いで頭を下げたのです。顔半分上げたときに、少女の目に何が映ったかといったら、プールサイドで、声を上げて泣き伏しているいじめグループの姿でした。
その日から、この学校には、いじめはまったくなくなったといいます。校長先生は、服一着を台無しにし、靴一足をふいにして、人が人をいじめることの愚かさを教えたんです。
傷ついた者を見下げ、さげすむことの悲しさを、その校長先生は、身をもって教えたに違いありません。このことは、その学校で永遠に語りつがれていくでしょう。
これは、実話です。だから、私は感動して、そのことを、人々に紹介しているんです。
世の中には傷ついた者もいるだろうし、足の不自由な者もいるだろうし、目の見えない者もおります。けれどもこの世の中に、いらない人間はいないんです。どの花見てもきれいだな、花が咲いたら一緒に見ましょう、実がなったら分けて食べましょう。傷ついた人がいたら、その傷や痛みを分かちあって、全人類の共通の問題として受けとめていきましょう。それが、親鸞聖人の思想であったわけです。

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